今日賛主義!

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とあるクリエイターの誕生「花に嵐」

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邦題:花に嵐
公開年:2016年
製作国:日本
監督:岩切一空
出演:岩切一空、りりか、小池ありさetc
公式:https://mobile.twitter.com/the__blooming

 

さまざまな映画賞を受賞した自主制作映画だそうです。
学園もので恋愛ものでサスペンスホラーでちょいエロでちょいグロ、そしてほんのりファンタジー
全体の印象としては、「君の名は」を彷彿とさせるごった煮感でした。

 

引っ込み思案な主人公は、大学の新入生。
美人な先輩に誘われて映画サークルに入部し、日常をカメラで記録しはじめる。
その日常に入り込んでくる少女・花。
花に未完の映画の続きを撮ってほしいと頼まれ、主人公の話は加速していく。

 

視点は主人公が借りたカメラであり、ほぼ主人公の一人称視点と言えます。
素人が撮っているという設定でもあり、画作りは独特でやや不安定。
こなれてない感じといいましょうか。
その素人感に流されそうになるけれど、演出や切替えは巧い。
大学サークルのあるある感。
ヒロインたちの可愛さや存在感。
花の無茶ぶりに答えていくコミカルさと緊張感。
突然の童貞喪失というAV感。
現実と虚構が入り混じるサスペンス感。
さまざまな色を見せながら、主人公は「映画を撮ること」に向き合っていく。

 

欲を言えば、シナリオにもう一掘り欲しかった。
いろいろな要素を上手く詰め込んで、しかしどの方向にも振り切らない感じ。
よく出来た幕の内弁当といいましょうか。
個人的に、主人公が状況に流されっぱなしの展開は気分がノらないんですよね。
そしていろんな解釈のできる終わり方。
端的にいうとエヴァっぽい。
気弱な主人公が無理やり戦わされて、最後は虚実入り混じる。

 

ひとつ違うのは、主人公が自己を確立するところ。
「やり方がわかるからやるんじゃないでしょ、やりたいからやるんでしょ」
繰り返されるその言葉に背中を押され、心のブレーキを解き放っていく。
そして現実か幻想かはさておいても、映画を完成させる喜びを経験したわけです。
おそらく、そんあラストを追い求めて本格的に映画を撮り始めるのでしょう。
何かを作る衝動は、そういう喜びなのかもしれませんね。