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暴き出されたアノ会社の裏側?「トヨトミの野望」

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書名:トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業
著者:梶山三郎
出版:講談社
発行日:2016年10月18日

 

日本を代表し、世界一の販売台数を誇る自動車メーカー。
その経営サイドで起きた、成長戦略と権力闘争を描いた小説です。
ええ、つまりアノ会社のことですね。
脚色されてはいるでしょうが、真実をベースに書かれているようです。
(帯とかネット上の「自称関係者」とかによると、ですが)
そういえば、アノ会社については生産方式や仕事術の本は多いけど内情については少ない気がする。
世界一に至るまで、至ってからも、外部環境との熾烈な戦いがあったようです。

 

現実に置き換えるのも興味深いですが、単純にビジネス小説としても面白い。
前半のおもな流れはサラリーマン社長vs創業者一族。
業績悪化に伴い、初めて創業者一族ではなく従業員から選出された社長・武田剛平。
その豪腕で業績を立て直していきますが、創業者一族とそのシンパにより指揮権を喪失。
絵に描いたような創業者経営体質ですね。
グローバル企業なのにこんな中小企業のような体質なのか、と衝撃を受けました。

 

後半は創業者一族本家の跡取りが社長になりますが、なんとも頼りない。
その御旗で意思統一しやすいという強みはありますが、能力で抜きん出たわけではないという弱みもあります。
周囲もイエスマンばかりで情勢に対応できず、完全に悪い部分が発揮されてしまっている。

 

この小説の主人公はどこまでも武田剛平。
英雄化しすぎているきらいがありますが、世界一に至る道筋を作った実績を鑑みればまさに主人公気質と言えます。
武田が困難な状況に立ち向かい、また世界戦略を一手一手進めていくところは伝記もののよう。

 

何よりも印象的だったのは、アメリカ相手の商売の難しさ。
なんというか、政治力・交渉力が極めて強い。
ロビー活動によってアメリカ(ないし政治家)の利益に配慮しなければ潰されてしまう。
日本では見かけない強さですね。
現在の米中貿易戦争の状況も踏まえると、その恐ろしさの一端が感じられます。
アメリカに限らず、海外展開にはこういう難しさがあるのでしょうね。
そういえば、アノ会社は中国にも相当投資してたような、、、さてどうなるか。
この物語の続きは、ミライにある。

 

しかしあくまでも、
本書は書き下ろしの小説です。
登場する組織や人物はすべてフィクションであり、実在の組織や人物とは関係ありません。
ということで。