今日賛主義!

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ちゃんばらが描くのは、日本映画の歴史と刀を抜く重さ。「時代劇は死なず ちゃんばら美学考」

邦題:時代劇は死なず ちゃんばら美学考
製作年:2015年
製作国:日本
監督:中島貞夫
主演:中島貞夫 山本千尋 他、殺陣に関わる皆さん
公式サイト:http://www.chambara.net/
~あらすじ~
殺陣の数だけドラマがあり、殺陣の数だけ愛がある。
京都で半世紀以上にわたって映画キャリアを積み重ねてきた中島貞夫監督。
その中島監督が、京都で制作された時代劇(ちゃんばら)を、映画人として内部から考察。
時代劇が作られた背景、ちゃんばらに込められた日本人の死生観など、ストーリーを追うだけでは見えてこないちゃんばら映画の魅力について、殺陣師、俳優、映画研究家、評論家など映画有識者の方々へ中島監督がインタビュー。日本が誇る芸術文化としての側面を浮かび上がらせるドキュメンタリーパートと、中島監督の指導のもと、俳優 木村彰吾山本千尋東映剣会らが出演するオリジナルのちゃんばらシーンを、メイキングシーンと共に紹介、いかにして、ちゃんばらシーンが作り上げられていくかを追うとともに、ラストは完成された本編で締めくくる。
(公式サイトより)
 
小さい頃は親の影響でよくテレビの時代劇を観ていたものです。
個人的には、ちゃんばらと言えば暴れん坊将軍とか必殺仕事人とかですね。
最近は時代劇観てないなぁ。
そんな懐かしさも手伝って、この映画を観てきました。
 
映画はフランスで生まれて2年後には日本に来たんだぜ。
というような日本映画の歴史から纏めた本作。
概略すると、
・記録映画ではない娯楽映画として、時代劇が創られはじめる。
・ちゃんばらのスター俳優が登場し、技術が磨かれる。
・敗戦後に規制がかかり製作されなくなる。
・その反動か、解禁されてから大流行。
・粗製濫造に近い状態になって人気が落ちる。
なるほど。
 
劇中、資料映像としてさまざまなちゃんばらが出てきます。
シリアスな決闘、軽業のような殺陣、ちゃんばらといっても色々あると初めて意識しました。
演者それぞれ、斬る側にも斬られる側にも目指す姿あるもので。
共通しているのは、殺し合うということをどう描くか。
面白かったのは斬られ役の方々の想いですね。
「斬る側は真ん中で踊ってるだけ」…言っちゃっていいんですか(笑)
しかし、やはり上手く斬られてこそ殺陣が映えるのです。
特に、名斬られ役・福本さんの斬られ様。
斬られて大きくのけ反るのは、斬った側と斬られた側を同時に画面に映すため。
斬られるという一瞬にもカイゼンポイントがあるのですね…!
 
それら前段を受けたラストの殺陣が非常に熱いものでした。 
「ちゃんばらはただのアクションではなく、ストーリーの集大成」
刀を抜くには理由があり、斬り合いによって答えが出るという美学。
それによって、刀に重みが出て、剣戟に迫力が生まれる。
いやぁ、美しいちゃんばらでした。
そしてあの福本さんが。福本さんが!(どうなったかは劇場で確認を)
 
上映館がかなり少ないのが残念ですが、日本映画を紐解く貴重な作品です。 
それこそ京都で定期的に上映とかしないかな。