書名:欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」
著者:奥田昌子
発行日:2016年12月20日
30歳過ぎて、健康ネタが気になってきました。
ただ、巷に溢れる健康法はどれがいいの???
大元になる「日本人にとっての健康」とは何かを押さえるべく、この本を手に取りました。
人の体質は遺伝子によって決まり、基本的には一生変わらない部分と、生活習慣やストレス、食習慣などの環境要因によって変わる部分が絡み合ってできています。日本人と欧米人は異なる遺伝子を受け継ぎ、異なる環境要因のもとで生きてきました。こうして作られた日本人の体質は、当然ながら欧米人の体質とは違います。体質が違えば、病気のなりやすさや発症のしかたが変わり、そうなると日頃の健康法や病気の予防法、そして治療法も同じというわけにはいきません。
(「はじめに」より抜粋)
なるほど確かに。
欧米人対象の研究でどんな結果が出たとしても、日本人に適用できるかは別問題。
その典型的な例として、
例1 牛乳
骨粗鬆症にならないために牛乳を飲んでカルシウムを!
→そもそも、日本人は骨粗鬆症の発症率が欧米人の1/2。
野菜や小魚からカルシウムをとり、大豆製品でカルシウムの流出を防いでいる。
むしろ乳製品を上手く消化できない日本人が多い。
例2 赤ワイン
赤ワインを飲むフランス人は心臓病になりにくい!
→これも日本人はフランス人より心臓病になりにくいので、さらなる処置は必要なし。
過剰なアルコール摂取は、がんになりやすくなる。
ああ、よく聞く健康法ですね。
欧米人の発症率を基準に健康のための食事を決めるのは間違い。
本書では、日本人のかかりやすい生活習慣病に的を絞り、それを誘発する遺伝要因と環境要因の分析を行っています。
・糖尿病
糖尿病が増えた原因は、脂肪の摂取量が増えたこと。
日本人(特に男性)は欧米人に比べて内臓脂肪がつきやすい。
内臓脂肪はインスリンの働きを抑制し、血液中の糖分が処理されにくくなる。
糖尿病対策のためには低炭水化物食ではなく低脂肪食。
特に発症率を下げる食品は、大豆と青魚。
・高血圧
日本食の弱点は塩分が多いこと、それで高血圧になりやすい。
…というのは一理あるけれども全てではない。
余分な塩分を体外に排出するために効果的なのはカリウム。
高血圧のリスクは飲酒で2.5倍、喫煙で2倍上昇する。
・動脈硬化
その対策は、、、これまた大豆と青魚。
・胃がん
ピロリ菌が胃がんの原因になりやすい。
他に胃がんの引き金を引くのはタバコや塩分、および肉。
野菜や果物の抗酸化物質を摂って発がん性物質の合成を抑えること。
・大腸がん
俗にいう、日本人は腸が長いというのは嘘。
大腸がんを誘発するのは肉類とアルコールとタバコ。
ここでも魚は発症率を下げる。あと運動。
本書ではもっと具体的に要因分析がされていますが、自分が知りたいことを端的にまとめると以上。
食事としては和食をベースに、塩分は少なくして魚を食べる。
大豆と野菜は和食で普通に摂れる。
習慣的には、タバコと酒は控えて運動する。
…こう書くと普通に言われていることですね。
目新しいことに飛びつくより、基本を守ることを考えたほうが良さそうです。