いい文章とはどういうものだろう。
リズムの良さ、巧みな表現、論理的かどうか、説得力、etc
いろんな基準がありそうですが、本書における定義はこうです。
「読み進めるにつれて、視野が広がり、思索が深まるような文章」
たしかに、読み終わったときに何か気付きを得られる文章には惹かれます。
大したことじゃなくても構わない。
「へー、そうなんだ」とか「そういう考え方もあるか」とか。
小さな新発見でも心躍るものです。
そんな文章の構成とはどういうものか。
キーワードは<屈折>と<飛躍>。
原則的に、文章には矛盾や不足のない論理的な展開が求められます。
しかし、その自然な流れに仕込まれた「思ってた方向と違う?」という引っかかり、<屈折>が「これからどうなる?」という期待感を生む。
そして、それを踏み台に「なるほどそうか」と視座を大きく<飛躍>させることが読み手の達成感を生む。
具体的な書き方のひとつとして、結論を先に書いて話を展開していく手法が挙げられています。
結論を一度「壊す」ことで屈折を生み、その上にさらに深い思想を組み上げる。
すると、自分でも意外な結論にたどり着く可能性があるそうです。
考えてみると、読む時だけでなく自分で書くときにも、そういう発見を求めていますね。
掴めそうな何かを形にしたい。
見逃しそうな何かを見極めたい。
書き進めることで、視野を広げて思索を深めたい。
それを実現できそうなヒントがここに。
この本は今の私に刺さる内容でした。
自分の書きたい文章を見つけた気がします。
概念的な話になりましたが、本書では具体例を添えて解説されているのでわかりやすいですよ。
書名:800字を書く力
著者:鈴木信一
出版:祥伝社新書
発行日:2008年2月5日