近代の作庭家にして庭園史研究家、重森三玲を追いました。
重森三玲の庭は「作品」としての力強さを感じます。
ただの庭ではなく、日本庭園の文法を編纂して抽出して昇華した「作品」。
伝統を踏まえた上でそれを超えていこうとする新しさがあります。
「永遠のモダン」と評されることも多いのも納得。
今回は京都の代表的な庭園を紹介します。
東福寺 方丈庭園
1939年作庭
作庭家としての重森三玲のデビュー作とも言える庭園です。
南庭(上の写真)は伝統的な枯山水庭園であるのに対して、西庭と北庭は幾何学的な珍しい構成。
市松模様なので和の雰囲気を持ちつつ、それが庭園に投影されている新鮮さ。
そして東庭は北斗七星がモチーフ。日本庭園に星座を持ち込むというのがモダンですね。
竜吟庵
1964年作庭
11月ごろだけ公開されており、まだ見れていません。
光明院 波心庭
1939年作庭
南に少し離れた住宅地の中にあり、人が少なく静かなのが良いですね。
建屋を抜けた裏庭は、表からの想像以上に広い。
縁側も多いので視点を変えて楽しめます。
霊雲院
1970年作庭
不定休とのことですが、行く度に休観日で見れていません。
瑞峯院 独坐庭
1961年作庭
蓬莱山から大海へと広がる世界をダイナミックに表現しています。
一際高い畝は荒波のよう、その中にそびえる蓬莱山の力強さ。
裏手には、キリシタン大名から着想を得た十字架モチーフの庭も。
松尾大社 松風苑
1975年作庭
上の写真は「蓬莱の庭」。
枯山水でよくある仙界を、ここでは池泉回遊式としています。
池は鶴の形で、島の一つには亀も。
こちらは「曲水の庭」
名前の通り、水が大きくうねり流れる庭。
それによってか正面がなく、どこから切り取って見ても面白い。
そして「上古の庭」
こちらは一風変わって、草原に岩を並べただけのシンプルな構成。
しかし、ただ御神体だけがあるような厳かな空気を感じます。
原初のアニミズム。