ファッションデザイナー・鳥丸軍雪氏の作品展を観てきました。
英国王室やサッチャー首相、スウェーデン王女と行ったお歴々のドレスをデザインされています。
オートクチュールは詳しくなく、これまで聞き覚えがありませんでした。
しかし、このドレスには見覚えがあります。
1986年にダイアナ妃(当時)が来日した時の写真ですね。
冴える青、そしてプリーツとドレープが流れるデザイン。
この流麗なシェイプこそ、鳥丸軍雪氏の得意とするところ。
今回の作品展に惹かれたきっかけは、このドレープの美しさでした。
「ドレープの魔術師」と呼ばれたというのも納得です。
うるさくならない絶妙なバランスで描かれた、優雅と呼びたくなるシェイプ。
しかし構成自体はシンプルで、意外にも展開すると単純な二次元の幾何学図形だったりする。
それが着られると複雑に流れ落ちて豊かな表情を描いていく。
表面のドレープだけでなく、その流れを追いかけると大胆な繋げ方をしていて興味深い。
肩から足元まで落ちて、そこから折り返して肩や頭に繋げてしまう。
見れば見るほど発見があります。
中期以降はプリーツが取り入れられています。
単に素材をプリーツに置き換えただけではありません。
縦横自在に組み合わせたプリーツが重力に引かれて、あるいは体に沿いながらラインを構成していく。
ドレープ使いをベースにしつつ、プリーツの持つ伸縮性が新しい表情を生んでいます。
30年ほど前のデザインなのに、今見ても先進的。
繊細かつ大胆に、垂らしたり、折り返したり、つないだり、つまんだり。
この布使い、好きだなあ。
立ち姿ももちろんですが、動いたときの流水のような揺らめきも綺麗。
動きを演出するというのは、立体としてだけでなく時間方向にも美を拡張しているようです。
飾っておくよりも人が着たときに映える。
そんなデザインが好みです。
レディースのデザインは自由で羨ましい。
メンズにもうまいこと取り入れられないものか…
「鳥丸軍雪展」は六甲アイランドの神戸ファッション美術館で2019/6/23まで開催。
約80点のドレスが展示されています。