邦題:ヘルムート・ニュートンと12人の女たち
原題:THE BAD AND THE BEAUTIFUL
公開年:2020年
製作国:ドイツ
監督:ゲロ・フォン・ベーム
出演:ヘルムート・ニュートン、ジューン・ニュートンetc
公式サイト:https://helmutnewton.ayapro.ne.jp/
「20世紀を最も騒がせた写真家」、ヘルムート・ニュートンのドキュメンタリー。
VOGUEといった有名誌に起用された写真家ですね。
とはいえヌードや挑発的な写真が多く、今なら炎上すること間違いなし。
しかし、作品から受ける印象は卑猥や扇情ではなく「強い女」。
向こう側から訴えてくるもののあるアートだと思うのは、自分が男だからか?
全体の構成は、作品、当時の映像、そして邦題の通りに女性12人のインタビューのミックス。
主にモデルとなった女性、奥さん、業界関係者。
アナ・ウィンターにも仕事で仮病使うようなウブな時代があったんですねえ。。。
愛らしく華やかなファッション業界だからこそ、コントラストを生むヘルムートの作風が映えるとのこと。
モデルの皆さんも(当然ながら)ポルノまがいではなく、ヘルムートのイメージもしくは自分の一側面の具現化として楽しんでいた模様。
ひとりだけ、作品を「女性蔑視」とみなす意見も含めているのがフェアと言えるかな。
作品は受け取り方は自由で、そう批判されることも意識しなければならない。
そんな作品を撮る本人は、モデルを口説くこともなく、あくまでアーティスト。
自然光を好み、ただ被写体の美しい形を求める。
エロく撮るの(だけ)ではなく、モデルと協調して作品を作り上げる。
茶目っ気もあって、モデルの緊張を解くのが上手かったようです。
メンズのトレンチコートの撮影依頼への対応が秀逸。
男の写真は撮りたくないからと、そのコートを着た自分が撮影しているところを鏡越しに撮る
そういう信念に紐づいたヒネり方、好きだなぁ。
さらにそこに同席していた奥さんをこっそり写りこませる遊び心も。
自称、イタズラ爺。
だからこそ、これまでにない発想の写真が生まれたんでしょうねえ。
さて作品が作品だけに、画面にヌードが出まくります。
写真そのものも、撮影風景も。
フェミニズムの槍玉に上げられかねないこの時代に、敢えてこの映画を出したこともヘルムートらしさの表現でしょうか。
原題の「THE BAD AND THE BEAUTIFUL」のごとく、受け取り手によって評価が分かれそう、
(いつも思うけど、邦題はわかりやすさ重視で印象変わり過ぎ)
個人的には「BEATIFUL」な作品だと思いますが。
女性を魅せるのは、女性の強さを認めている者かもしれません。
写真集は欲しいけど、ブックスタンドはいらない。。。