「どれもこれも気に入らなかった人が最終的に手に取るしかないマガジン」と銘打ったファッション誌、Imaginary
imaginary VOL.01 (夢眠舎) | |本 | 通販 | Amazon
よくあるファッション誌より二回りデカく、書店でみると存在感がある。
気配もただ者ではない。
他の本とは違うから、間違って手に取るなよ!という圧を感じる。
というわけで、その存在に惹かれたわけですが。
その中身を見ると、ファッションのカタログとかテクニックではなく、思想書でしたね。
いわゆるオシャレになろうとするのではなく、ファッションをもって世界に自分を示そうとする人、我を張ろうとする人に向けた内容。
ファッショントレンドとかでなく、「そうじゃないんだ」と叫びたい人に向けた啓蒙書というか福音書という感じ。
思想書と表現したのは、切り口が大局的というか俯瞰的で興味深いから。
「映えではなく実力」
映えて当たり前、という世界で、光を放つのは「実力」とのこと。
自分も同意で、意識高い系ではなくて実力高い系になりたいと思っている。
(方向性は決まってない)
「バズり貧乏・鍵垢富豪」
バズって拡散すると、表面だけなぞられて記号として消費されて磨り減ってしまう、というようなのがバズりによる貧しさ。
そうならないように、自分(のもの)を守るという鍵垢の視点。
「パフェライク」
素材(記号)を引用しながらも、タグ付けされたものとして扱われるのではなく、その飾り方で自分のパフェを作り上げるイメージ。
表層だけではなく、パフェグラスの底から積み上げているというのも要件。
ふむ。
確かに、ファッションはどこかで見た記号が消費されて無限ループする地獄に向かっている気もする。
1980年代の「黒の衝撃」がファッション界最後の革命と言われるのも、むべなるかな。
何をやってもリバイバル感。
完全オリジナルな物を探すより、自分の好きなもの・ルーツを見極めるのがオリジナリティなのかも。
今の世の中に、確かに無いタイプの本。
ちゃんと(?)雑誌の体裁をトレースしているのもまた面白いところ。
ライター陣もそれぞれ独特の世界観をもっている
まぁ編集長二人の知人の出演が多いので、どうにも内輪感はあるけれど。
それだけ個性的な、というか自分の世界を持っている人が集まっているのは凄いと思う。
それぞれやりたいようにやっているようで、とっちらからずちゃんと読める中身に仕上がっているのも凄いというか。
編集長がいい匙加減なのかな。
さて、この本で伝えようとしていることは理解できる(つもりだ)けど、共感はできないかな。。。
そこまでファッションで我を張る環境、なかなか無いのでは。
(レディースはちがうのだろうか)
言ってみれば、都会向けの内容だと思う
人が多ければ、自分らしさを出すつもりが大して効果がなく埋没してしまうこともあるだろう。
人の少ない田舎では、個性を争う相手はあまりいない。
(SNSを主戦場と見なせば別だけど)
むしろ自分らしさを出すことに疲れてしまわないよう自分を守るのが大事かなと。
個人的には、自分が「これいいじゃん」と思う服装をしたいだけであって、それを伝えたい何か・誰かがあるわけではない、、、というか。
必要なのは自己満足と自己承認。
しかし、ゆえに、そういった動機をもつ人には刺さる内容だと思う。
こんな雑誌が、こんな世に出たことに感謝。
続刊が出るのかわからないけど、4年おきくらいで刊行してもらえると楽しい。