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「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」咲くことと散ることをみる

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邦題:この世界の(さらにいくつもの)片隅に

公開年:2019年

製作国:日本

監督:片渕須直

出演:のん、細谷佳正etc

公式サイト:https://ikutsumono-katasumini.jp/

 

2020年映画初め。

戦時下の営みを描いた「この世界の片隅に」(以下、無印)に当時削られた内容が追加された、いわば完全版。

尺は堂々の168分、しかしそれを感じさせない展開の良さ。

追加されたのはもともと原作にあるシーンなので、取ってつけた感じもなし。

戦争が深まっていく様を抽出していた無印に比べて、そこに生きる人間模様がさらに深掘りされた印象です。

 

追加部分は主にすずと白木リンとの交流。

無印でも明確な不足はないと感じていましたが、今作ではすずさんの心の動きがより大きくなっていますね。

特に、幼馴染との再会や実家へ帰る決断のくだりがさらに強い意味を持ってきます。

戦時に暮らす人も、恋をして痛みを抱えて、日々を生きる。

無印以上に丁寧に人間模様が積み上げられるぶん、その日常が「戦争」に侵されていく様が心に刺さります。

 

戦闘機のエンジンを整備する工員が自分の仕事を誇り、一方で襲い来る敵機も誰かの誇りの成果なのかと問う。

 

「死ななくて良かった」と言われても、失ったものと後悔は覆らない。

 

戦争が日常にあり、

日常が戦争に食われていく。

貧しくなっていく生活

失われていく命。

そして昭和20年8月6日。そして8月15日。そのあとも続く日々。

 

やはり、かつてないくらいに戦争を身近に感じられる映画ですね。

何か特別なものではなく、すぐそこにあるかもしれないもの。

戦争はどこかで起きていて、そこに生きる人がいる。

それを心に留めておきたい。

 

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